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松嶋駿という高校生の学生生活を象徴する一枚の写真について(後編)

カテゴリ:世の中の事


松嶋駿という高校生の学生生活を象徴する一枚の写真について(後編)

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○インタビュイーのプロフィール
松嶋駿(まつしま・しゅん)。16歳。某県立高校(通信制)1年次在籍の傍ら、同世代による同世代が楽しめる教育をデザインする団体「Lift-Up」を主宰、秋田県内の大学やフリースペースなどでワークショップを開催している。そのほかにもいくつかの団体にコミットし、ワークショップのメンタリング等を行っている。中学校では「戦略的不登校」と銘打ってホームスクーリングを独自に取り入れ卒業。その時の思いから人生を通し教育に関わりたいと志している。

(以下、松嶋→松、秋元→秋)

秋:ちょっと個人的な興味で聞いてしまうかもしれないんだけど。冒頭で飛行機の写真を見せてくれて、実は今、このインタビューの最初に話してくれていた言葉が思い浮かんでいて。写真を見せてくれながら、どんどん変化が大きくなったんですって話と合わせて松嶋君が喋っていたことで。写真の左上に、まちがあり、そのまちが普通だとすると、そこからどんどん離れていくということを言っていたと思ったんですけど。改めて、その飛行機の向かう先というか、周りに追いつくために上昇飛行をしているというときに、では、何から離れていっているのかなあと。

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松:何より、今は受験勉強を一切しなくなっている状況なんですね。

秋:受験勉強から離れている?

松:はい。4月とか5月とかの時点だと、通信制高校に通ってはいるけれども、当初は別にマイプロやりたくて通信制にきたわけではなかったので。いずれはまた当たり前に3年後に入試を受けて、卒業するんだろうなというイメージがもともありました。それこそ能代高校に入学した子たちと離れることなく、お互いレールは違うけど、普通に彼らと同じ出発駅を発って、同じ到着駅にたどり着くんだなと。

秋:なるほどなるほど。同じところに着くんだけど、でもレールは違う、と。

松:レールは違う。たとえば、秋田から東京に電車で行くつもりだったのが、私は秋田からカナダに行っちゃう、そういうふうに路線変更しちゃったのかなと。秋田から東京へ行くはずだったのだけれども、みんなは新幹線で行って、私は飛行機で行こうと。そうしたら、私の乗る飛行機がとうとう行く先を変えちゃったのかなみたいな。そういう感じで、離れていったのかなと。

秋:離れた、ことに関してはどうですか? 離れてよかった?

松:良かったと思います。

秋:離れたかったのかな? もともと。

松:いや、もともと、あの、そうですね……離れたかったのは、あるかもしれない。離れたくて、離れるためには、まず大学を卒業してから自分の人生を描いていこうと。自分のやりたいことをやれるのは大学卒業のその先のことと捉えていた。でも、それを、今の段階で「Lift-Up」として実現する術があるなってことを実感して。まあいわゆるマイプロですよね。マイプロをやることができるんだと気づいて、大学卒業後にやるつもりだったことを手前に持ってきて、高校1年生の今からやり始めた。やりたいことを前倒しする手段を知ったことで、大学卒業後にやろうと思っていたことに近づいたと考えれば、離れたかったと言えば離れたかったですね。

秋:離れることで、近道ができた?

松:そうですね、離れたいけど、とりあえず大学に行くまでは我慢しなきゃいけないと思っていた。けれども、自分のやりたいことを、一旦大学を卒業して大人としてやる前にも始めることができるということを知ったから。

秋:そっか、我慢する期間なのね。通信制に行って、大学入って卒業して、ようやく自分が社会に出るという、それまでの期間は我慢の期間だった?

松:まず、中学校に通っていたときは間違いなく、はい、我慢のときでしたね。高校も入学当初は我慢しなきゃいけない時期と捉えていたでしょうね。勉強自体は嫌いではなかったけれど、ライフスタイル全般としては、あまり興味があるものではなかったです。大学生は、自分で選んではいるからそれなりにやりたいことができるとは思っていたんですけど。やはり自分で何かを生み出したり創り出したり考えたりってことは大学卒業後にできるもので、それまでは我慢って考えはありますね。

秋:なるほどなるほど。じゃあ、今、話を聞きながら思った印象をもとに聞くと、えーと、松嶋君が乗る飛行機が離陸するわけじゃないですか。で、例えば、能代高校に行った元中学の同級生とかは、飛行機に乗っているんですか?

松:……新幹線で東京に行っている。

秋:新幹線で東京に(笑) 自分もそうやって東京に向かうと当初は思っていた?

松:たとえば能代から東京に行こうとするじゃないですか。能代を中学校、秋田を高校入学にそれぞれ例えるとします。そうすると、まず能代から普通電車で秋田まで行きますよね。

秋:はいはい。

松:東京を大学入学に例えると、みなさんは新幹線なり各々のルートでぶーんと東京に行くと。私はそこで飛行機に乗って東京に行くことを選んだ。秋田から東京へ向かうタイミングでみんなと分かれ、私は飛行機で東京に行く。しかしそのはずが、路線変更してカナダに向かった、みたいな。

秋:なるほどなるほど。じゃあ松嶋君はみんなが乗っている新幹線から離れていっているわけですね。それで、今向かっている先に、東京で出会った、追いつきたいと思っている人たちがいる? その背中を見て今松嶋君は上昇飛行をしている?

松:そうですねえ……。東京の子たちだと、企業とかにスカウトされてある程度人から努力を認められているというか。自分で何かやっているとか、自分が団体の代表であるというだけではなくて、他人に能力なりを認められている状態でやっている。そういうのって一線を画すると思うんですよね、社会的な評価を得ている。そうなると、たぶん、訳が違うというか、そういうところがやっぱり、長けているっていう感じですかね。

秋:社会的評価が必要?

松:そうですねえ、やっぱり、いずれは、必要。必要ってかマストではないと思うんですけど、ある方がやっぱり、強いですよね。

秋:強い。

松:強いというか、あるほうがやっぱり認められているというか、価値があってやっているっていうか。スキルに価値があるとか、たとえばプログラミングができますというような、その人の能力的な話だけではなくて、それを実際にうちで売れますよっていうふうになっていく。私たちはまだ自分の範囲内でやっているに過ぎないので。

秋:私たちっていうのは……。

松:団体とか。

秋:ああ、例えば「Lift-Up」という団体でやっている中ではってことね。

松:でも、東京にいる人たちは、自分たちの活動を他人から認められているわけなので、それはやっぱり、能力の比較と考えても、彼らの方が優秀ですよね。

秋:彼らの方が優秀、だと松嶋君は思っている。

松:はい。

秋:なるほど。認められることが優秀ってことかな?。

松:そうですね、あの、そうだと思っています。

秋:認められるくらい、自分も優秀になりたい?

松:はい。

秋:なるほどなるほど。

松:たとえば、直近の話だと、次の「Lift-Up」のイベントで協賛をいただけたとか、そういうことはスモールステップとして次の段階に進めることができたのかなと思いますね。そういう他人から認められるという「尺」の中で得たものかなと。企画書を見ていただき、後援していただき、お金を頂けるってことは、そういう過程の中の一部なのかなと。

秋:そういう過程。優秀になっていく、社会に認められていく過程の、ワンステップ。

松:はい。数の問題だけではないと思うので。

秋:数?

松:数。というのは、要は、幾つもの会社から声がかかるとか、何社から内定貰ったとか、エントリーシート何社通ったとか、あとは何点取ったとか、そういう数の問題ではなくて。そうではなくて、確実な評価をどれほどいただけたか。逆に、私たちのやっている「Lift-Up」に関しては、そういう評価のされ方だと思うので。

秋:確実な評価。確実?

松:えー……そうですね、例えば、何百人の中でエントリーシート通った、ではなくて、自分の実情を一つ一つ見られて

(ここで録音が終了している)


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