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子どもの携帯電話利用を巡る問題-道具を使いこなすということ

カテゴリ:世の中の事

 制服や制帽のように学校が指定する携帯電話「制携帯」を平成22年度から導入している須磨学園中学・高校(神戸市須磨区)で24日、中学生徒会が制携帯の意識調査についての発表を行った。

 制携帯は、学校が携帯電話の正しい使い方を教えようと、平成22年4月に導入。生徒は毎日、学校が指定した携帯電話を持ってこなければならない。

制服ならぬ「制携帯」? 「規則厳しい」不満も、導入校で意識調査 – MSN産経west

小中高生の携帯電話利用を巡る問題については話題が尽きることはありませんね。

今の時代、子どもに「携帯を使うな!」と迫るのは現実的な策とは言えません。
冒頭の記事のように、「携帯を正しく使う」という視点がますます求められることでしょう。

携帯電話が子どもたちにもたらすもの

高校生を見ていると、大人から見て好ましくない携帯電話の利用方法につい目がいってしまいます。
以下では、勉強に関する影響に限って少し具体的な話をしてみます。

好ましくないといえば、勉強中であっても片時も携帯電話から目を離さないというのは特に気になりますね。
「勉強に集中する」ということを考えれば、携帯電話の電源を切ったり、振動もしないサイレントモードに切り替えてしまったりと、携帯に集中力を奪われない方法は幾つか思い浮かぶものです。
大学入試の時期に差し掛かり、ゲーム機を棚の奥深くに仕舞い込んだという人も少なくないことでしょう。

ところが、そのような状況に対してこれといった手立てを打つ高校生はそう多くありません。
「テストやばいやばい」と言いながら、「ぶーっ」と携帯がなればペンを置いてメールやLINEの返信を始めるわけです。

大人でもFacebookやTwitterを常時開きっぱなしにしてマルチタスクで仕事をしている人がいます。
実を言うと僕もそのタイプですが、本当に 集中したいときは編集したいアプリケーション以外はすべて閉じるということで割とはかどります。
つまり、「ライフハック」の類ですね。高校生はこれを知らないか、あるいは知っていても実行に移さないというわけです。

なぜか。僕の印象として、その理由はざっとこんな感じです。

物事の優先順位を整理・操作できない。
効率、効果を挙げることに関心がない。

これ、ビジネスマンにとっては非常に重要な能力であるわけですが、大人でもなかなか実践は難しい。
「大人でも難しいことを、高校生ができるのか?」という話です。
能力に劣る高校生にとっては、処理すべきこと(=携帯)が一つ増えるだけで大問題になるわけです。

使いこなせない携帯が子どもの手に渡ることで、携帯におぼれてしまう。
それが引いてはネット上でのトラブルや極度の依存につながるようにも思えます。

道具を使いこなすということ-手段と目的の話

携帯におぼれる高校生に欠けているのは、道具を使いこなすという姿勢です。
自分の目的を達成するために、手段として携帯電話を用いることができる生徒は、そう多くありません。
たいてい、手段である携帯電話が目的化してしまっているわけです。

この問題のとりあえずの対策は大きく2種類あります。

勉強は工夫することで効率化できると認識させる。

高偏差値大学に入学するような人にとっては非常に当たり前のことのように思えますが、多くの高校生にとってはそうではないようです。
自分の働きかけで学習環境がよくなる、という発想がそもそもなさそうなんですね。
「ライフハック」とは言わないまでも、勉強に集中する工夫や効率的な学習方法を伝えると、結構高校生の食いつきが良いです。
知識やテクニックばかりに寄るのも問題ですが、自分なりに工夫しながら学習環境を改善することを習慣化できるように促すことで、社会に出てからも役立つ力を伸ばせると思います。

勉強を「目的」に据えさせる。

たいていの生徒は優先順位付けが下手くそです。
内的な問題なので困難が伴いますが、自ら計画を立てたり、反省をしたりしない生徒には、外から意識させることをしなければ、いつまでたっても目的をベースにすることはできません。

道具を使いこなすためには、道具は使い方次第で毒にも薬にも化けること、道具は目的達成のための手段でしかないことをまずもって認識する必要があります。
一旦目的が定まれば、それに応じてどの道具をどう使かが決まるわけです。

目的が定まらなければ優先順位も場当たり的になり、ただただ目の前のことに対処するだけに終始しがちです。
しかし大学入試を見据えると、目的をベースに長期的な視野にたって、勉強を継続的に積み重ねることが必要になります。
勉強中に携帯電話ばかりに気が散るような生徒は、受験期になって突如として焦りだすことでしょう。
その前に大人が声をかけることで改善できる状況があるのではないでしょうか。

 

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