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数学の記述力を上げるために:場合の数と確率を用いて

カテゴリ:自分事


※本記事は勤務先の隠岐國学習センターにて、
場合の数と確率を用いた数学の記述力向上を目的とした授業の際に
生徒に指示・伝達する内容をまとめたものである。

「場合の数と確率」を苦手とする原因は読解力不足と記述力不足にある

○よくある課題
小問集合のように単一の問題として出題されると解けるが、
大問形式になると(1)から完答できない。

○原因
(1)問題の読解力がない(設定を理解できない)
(2)数学の答案を記述する力が不足している

○背景
「場合の数と確率」分野で最も重要なのは「考え方」である。
この分野は、特に模試において設定を丁寧におさえることが必要であり、
そのため計算式に至るまでの記述量(=どのように考えたか)が必然的に多くなる。
多くの生徒は数学を、公式等を用いて計算し、答えを示すものと見なしているが、
上述の通り具体的な計算よりも考え方に重きが置かれる分野のため、
計算はできるのに状況の理解と立式の根拠が不足し、結果、得点に至らない。

「場合の数と確率」を用いた読解力・記述力の向上の方法

○指導の方針
・教材:例題+演習問題の構成のもの(「チャート式数学」等)

○進め方
(0)「場合の数と確率」分野の例題の問題、図及び模範解答を1字1句漏らさずにノート等に写す
(1)演習問題を解く。具体的な答案作成に入る前に図やイメージを書く。
(2)(1)の図・イメージ及び例題の模範解答を元に答案を作成する。
(3)1問解く毎に丸付けをする。指導者から添削を受けるか、または同級生と互いの答案を丸付けし合う。
(4)一通り解き終わったら、例題を見ずに解答するチェックテストを行う。
※(0)は省略可

○ねらい
・図、イメージに落とし込む→読解力向上
・模範解答をまねる→記述力向上(答案の型の定着)
・記述を添削する→記述力向上(答案作成に必要な観点への気づき)

○留意事項
・図、イメージには手加減しない。サボらない。
→例えば大小2個のサイコロを振るような設定であれば、36パターンをすべて記述する。
樹形図も書けるだけ書いておく。袋から玉を取り出すならまずは絵を描いてみる。
特に「場合の数」問題はパターンを書き切ればそれだけで答えが求められるものが多い。
答えを見つけるプロセスをどのように答案として表現するか、それが記述力である。
まずは設定を確認し、その上で立式から答案作成に持ち込むことが肝要である。

・記述は模範解答をそっくり真似る。
→記述力不足の原因の一つとして、解答の”型”を体得していないという問題がある。
チャート式等の網羅系参考書は、例題から模範解答を学んでこそ価値を発揮する。

・記述は不足するより過剰な方が良い。
→過剰に記述した答案と解答用紙を見比べてはじめて、何が答案に必要/不要かがわかる。
また、計算式を書いただけの答案では、自分の考え方をトレースすることができない。
とにかく記述しまくった答案は、模範解答との差異という形で多くの学びを提供してくれる。
「ここまで書く必要があるのか?」と疑問に思う暇があったらとにかく答案に盛り込むべきだ。
要不要は答え合わせの時点で判断すればよい。

・丸付けはまとめてやらず、一問解き終わるごとにする(小問毎でもよい)
→学習効率の向上は、フィードバックループをいかに早く回すかにかかっている。
自信がない問題ほど速やかに答案と模範解答とを見比べ、違いを認識し、
その違いを次の問題の答案作成に生かす。そのループは細かいほど良い。
あとでまとめてやると、多くの無駄な間違いが発生し、かつ解き直しに手間がかかる。
余計な復習を最小限にするためにも、「これ以降は解ける」という感覚をつかむまで
細かく丸付けをし、自分の「考え方」を微調整するのが望ましい。

・丸付けは式や答えだけでなく日本語の使い方にも注意する。
→自分の答案と模範解答の記述の違いこそが「考え方」を改める良いきっかけとなる。
式は「考え方=記述」の結果にすぎず、答えは式の計算の結果に過ぎない。
繰り返しになるが、「場合の数と確率」分野で最も重要なのは「考え方」である。


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