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【告知】海士町で教育×地域の最先端に触れるイベントを開催します【10/12(日)】

カテゴリ:告知

僕が関わっている「島前高校魅力化プロジェクト」。
当プロジェクトが全面的に協力するイベントが開催されます!

 

以下、告知文です。

『島の教育会議』  「挑戦する教育」~ここに答えはない、未来はある。

かつて廃校寸前だった離島の高校が、今では日本中から生徒が集まり、
海外からも入学希望者が来る学校に変わりました。
進学に不利と言われる小規模校にも関わらず、難関大学へ進学する生徒も増えています。
教育関係者だけでなく、企業の経営者、日本の大臣、 外国大使、
ハーバード大学の学生など視察や訪問が絶えない学校がここにあります。
島全体を学びのフィールドにした、地域と共に創る教育、地域をつくる教育が始まっています。

この島の学校で何が行われているのか。なぜ全国から高校生が集まるのか。
そして島の教育は何を目指して、どんな挑戦を更に仕掛けていくのか。

隠岐島前高校の取り組みを中心に、この島で取り組まれている教育、
そしてこれから挑戦する教育について、参加者の皆様とともに議論し、
新しい挑戦を創る場としてこの会議を企画しました。

生徒からの発表も含めた事例発表、各分野にわかれての分科会、
さらにプロジェクトメンバーも交えた交流会も予定しております。

以下の詳細をご確認の上、いざご参集ください。

—イベント概要—

第3回島会議「島の教育会議」
挑戦する教育 ~ここに答えはない、未来はある。

主催:一般社団法人 海士町観光協会
協力:島根県立隠岐島前高等学校、財団法人島前ふるさと魅力化財団

日時:2014年10月12日(日)14:00~18:00
場所:島根県海士町 中央公民館 島民ホール
※交流会:19:00~21:00

料金:3,000円(交流会参加者は別途5,000円)
※当日午前中に町内ツアーにご参加される方はツアー代3,000円が別途発生します。

定員:100名
申込期限:平成26年10月5日(日)
申込:「海士町観光協会」ホームページからお申込ください。
http://oki-ama.org/news/1381.html



【プログラム】
14:00~16:00 実践発表「島の教育の“今”」
【高校生、高校魅力化プロジェクト、学習センター、島前高校教員等】
地域の課題解決に取り組む高校生をはじめ、挑戦する教員、
進化する公立塾、仕掛ける地域など多様な立場から、今の実践を紹介します。


16:00~18:00 分科会「島からつくる教育の“未来”」
島の教育の現状や課題、未来への想いを踏まえたうえで、
分科会ごとに参加者の皆さんとこれからの取り組みについて議論し、
新たな可能性を共につくります。


第一分科会:グローカルキャリア教育
昨 今、目にする機会の増えた「グローバル人材」という言葉。一見グローバルとは程遠い隠岐島前でも、グローバル×ローカルのバイリンガルである「グローカル 人材」の育成に取り組んでいます。日本、そして離島という辺境だからできる「グローカルキャリア教育」の社会的意義と可能性を探求しませんか?

第二分科会:世界中から生徒が集まる島留学
島 前高校の特徴の一つが「島留学」制度。全国から「普通の高校では物足りない」意欲的な中学生を募り、現在は全校生徒の約半数が島前地域外出身です。ど田舎 からグローカル人材輩出に挑む島前高校が、全世界から“脱藩生”が集まるグローカルな学校となるためには。刺激的な議論の展開を期待します。

第三分科会:新たな半寮制による全人教育
島 留学生が暮らす寮。生徒たちは出身も価値観も異なる同世代と寝食を共にする中で、意見の相違や衝突を経て、多文化協働を体得します。現在新たに「研修交流 センター」を建設中。地域住民や来島者に開かれた場を共に創り、生徒に寄り添う大人はどうあるべきか。島暮らしそのものを通じた全人教育の実践が加速しま す。

第四分科会:挑戦する学校・地域連携型公立塾
地域と協働しゼミ形式の授業を取り入れながら、地域の未来を担う人材育成を行う のが、公立塾「隠岐國学習センター」です。高校と定例の打ち合わせを持つなど、学校との密な連携を実践しています。地域や学校と協働しながら、人口減少社 会に求められる新しい教育のモデルづくりに挑戦します。

第五分科会:地域と学校の協働の進化形
島前高校、島前3町村、地域住民、 保護者、県や国の各機関…。魅力化プロジェクトのステークホルダーは実に多様です。それら関係者と共に歩む上でのキーワードが「協働」であり、それを担う 「コーディネーター」の存在が欠かせません。コミュニティ・スクールを超える地域と学校の「協働」の形を模索します。

第六分科会:先進的ICT教育活動
近 年ICTを用いた新しい教育手法の開発が盛んになっています。ICT自体は単なるツールですが、魅力化プロジェクトではICTによって個に対応し、世界に 開かれた学びの場づくりを実現する可能性を模索しています。遠隔授業、動画講義、タブレット学習の先にある「地域で活きるICT教育」を一緒に考えません か?

第七分科会:教育を核とした地域活性化
島唯一の高校の統廃合という危機から始まった魅力化プロジェクト。島にとって存続と活 性化のレバレッジポイントである教育の挑戦は地域に何をもたらすのか。「学びの島」ブランドの確立に向けた、地域を担う社会人へも学びを開く「島まるごと 大学」の創設など、教育×地域の新たな地平を探ります。

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秋田魁新報「あしたの国から 人口減社会を生きる」に海士町が紹介されています

カテゴリ:自分事

島根県の沖合約60キロにある隠岐諸島の海士町(あまちょう)。面積33平方キロの半農半漁の島に、全国から年間約千人が視察に訪れる。町独自の取り組みに関心を示す若者が日本中から集まっているためだ。人口減少が進む自治体の担当者が、ヒントを得ようと足を運ぶ。

あしたの国から 人口減社会を生きる:第6部・将来への手掛かり(7) [離島に学ぶ]賄えない人材を募る|さきがけonTheWeb

2013年のさきがけ特集記事「あしたの国から 人口減社会を生きる」。
先日東京支社から記者の方が海士町を訪れ、希少な秋田出身である僕も取材を受けました。

海士町では多くの取材、視察を受け入れていますが、僕自身の取材は初でした。
まとまりのある話がなかなかできなかったのですが、伝えたかったニュアンスがしっかり記事になっていて感動した次第です。

海士町にこれだけ島外から若者が集まるのは、10年以上前から積極的にIターンの受け入れを開始し、
地域に馴染めるようあれこれと面倒をみてくれた町民のみなさまの存在が不可欠だったのは言うまでもありません。

しかし、もうひとつ重要な点として、そういった土台の上に、まず面白い仕事、町に必要な仕事を定義し、
その役割を担える人材を島内外を問わず募集する姿勢があったのではないかと思っています。

仕事が移住に先行することで、移住者は純粋に仕事の魅力と人の魅力にひきつけられます。
移住する際には、必ずしも「永住」の決意は必要ありません(それは往々にして過度の重圧となります)。

実際に住んでみて、本当に気に入ったなら改めて永住を決める。
それはまるであるべき自由恋愛の姿と重なるような、「フェアなあり方」だと思っています。

町は移住を歓迎するが、「永住」は前提としていない。町は島では賄えない人材を募り、移住希望者は島で手掛けたいことを提案する。一定期間住めば奨励金を出したり、家屋を無償譲渡したりする本県一部自治体の定住対策とは異なる。

あしたの国から 人口減社会を生きる:第6部・将来への手掛かり (7)[離島に学ぶ]賄えない人材を募る|さきがけonTheWeb

町長や課長を差し置いて僕の写真が掲載されていて大変恐縮です…笑

※リンク切れの場合は下記リンクをどうぞ。
http://megalodon.jp/2013-0624-1102-26/www.sakigake.jp/p/special/13/ashitanokuni/article6_07.js

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海士町@隠岐の注目すべき取り組み:まちづくり編

カテゴリ:世の中の事

海士町在住者による島根県隠岐郡海士町の取り組みのご紹介。
「教育」「産業」「まちづくり」の3部構成も本記事がラストです。

海士町@隠岐の注目すべき取り組み:教育編
海士町@隠岐の注目すべき取り組み:産業編

※紙面の都合上、独断と偏見で一部の取り組みのみ紹介させていただいております。
※記事の情報は2013/4/26現在

はじめに:本記事における「まちづくり」の定義

本記事では「まちづくり」を「住民参加や生活向上を図る取り組み」や「行政以外のアクターが主体の取り組み」と定義します。
そのため、ハード面ではなくソフト面での取り組みが主となります。
「まちづくり」というタームの従来の用法とは異なりますので、ご留意ください。

1.定住促進の取り組み

これだけIターンが集まる海士町ですから、定住促進に触れないわけにはいきません。
多くの自治体が視察に訪れるのも、その秘密を探るのが主な目的となっていることでしょう。

しかし、個人的な印象として、定住促進のために海士町が特別な制度設計をしている印象はありません。
移住時には住宅の斡旋はしてもらえますが、特別な控除や補助が用意されてはいません。
全島あげて歓迎!なんてあるわけないし、移住したその日から島の人間として生活することが求められます。
強いて言えば「定住促進住宅」と銘打ってUIターン向けの単身・世帯用の住宅をつくりまくっていることくらいでしょうか。
これもIターンを積極的に受け入れたいから、というより、単に必要に迫られた結果(本当に家が足りない!)と感じます。

ではなぜそんな海士町にIターンが集まるのか?
答えはシンプルで、「面白そうな仕事・役割があるから」だと僕は思っています。
僕自身、海士が持つ自然と文化の豊かさだけに惹かれて移住したわけではありません。
何よりも「やりたい仕事」「チャレンジングな課題」「一緒に働いてみたい人」の存在があったからです。

特に都市部で働いている人が田舎に関心を持つとき、多くの場合「やりがい」「生きがい」への期待があります。
のんびりとした暮らしへの憧れだけでなく、「自分がしたことの影響範囲が見えるような仕事がしたい」「社会に働きかけたい」という欲求にも注目する必要があります。

海士町はチャンスを求めてきた若者を拒みません。
と同時に、チャンスをつくりつづけているのです。
それは決して定住促進の文脈ではなく、地域をもっと良くしたいという純粋な想いが燃料源になっています。
だからこそ海士町にあるチャンスはより魅力的なものとして、若者たちの心をつかんでいるのではないでしょうか。

2.隠岐自然村

「小野 篁(おののたかむら)」という人物をご存知でしょうか。
彼は文武両道×イケメンと非常に優れた人物で、平安時代に活躍しました。

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟

これは百人一首に収録されているものですが、海士町へ島流しをされる際に彼が本土の美保関で歌ったのがこの歌。

小野篁が建てたとされるお寺が海士町にあります。
そのお寺・金光寺がある山は金光寺山と呼ばれ、春には桜並木が華やぎ、町内の花見スポットになっています。

前フリが長いですが、この歴史ある金光寺山から島内を見渡すようにあるのが「隠岐自然村」です。
隠岐自然村はエコ・ツーリズムや自然環境教育などを実践する教育研修施設です。
宿泊もできるので、僕も何度かお邪魔させていただきました。

「しまのこ自然楽校」などのイベントの他、隠岐島前地域の自然を体験するエコツアーや釣りなどのガイドも受けつけています。
僕も竹でイカ飯づくりを体験しましたが、子供づれで参加したらめちゃめちゃ面白いだろうなというプログラムが目白押し。
スタッフのみなさんは隠岐の自然に精通しているので、長年島に住んでいる方も知らないような貴重な話が伺えます。

隠岐の自然を満喫したい方にはお勧めの宿泊先となっております。
(交通の便が悪いのが少しネックですが)

3.集落支援員

総務省が実施している「集落支援員」制度をご存知でしょうか。
農水省の「田舎で働き隊」事業、総務省の「地域おこし協力隊」などと似たようなものと考えるとわかりやすいかもしれません。

集落支援員制度の説明は以下のとおり(総務省HPより引用)
“地域の実情に詳しく、集落対策の推進に関してノウハウ・知見を有した人材が、地方自治体からの委嘱を受け、市町村職員と連携し、集落への「目配り」として集落の巡回、状況把握等を実施”

この海士町でも教育委員会を中心として集落支援員が海士町内計14地区に入って活動をしています。
集落支援員のメンバーは島内出身者のみでなくIターンも加わっています。
集落に入る際には島内の人間だから入り込めること、島外の人間だから言えることがあります。
うまく役割分担をしながら、効果的な支援の方法を探ることが出来るチームになっています。

「集落支援」と聞くと、高齢者の買い物支援や草刈り、行事の手伝いなど、「何でも屋」のような印象を受ける方もいるのではないでしょうか。
海士町の集落支援員は、集落の自立の支援を第一としており、「何でも屋」を引き受けることを避けています。
関係性をじっくりと築き上げながら、少しずつできることをお手伝いし、集落の自立を引き出す。
そのあり方には学ぶべきことが多いように思えます。

海士町の集落支援員で個人的に面白いと思うのは、「古道具屋さん」の取り組みです。
住む人の居なくなった家の整理をすると、食器や家具の処理が問題になりがちです。
まだ利用できるものをゴミとして処理するのはエコロジーの観点から望ましくありません。
また、当時利用していた家具などを廃棄することは思い出を捨てることにもつながり、抵抗感があるもの。
そのようなニーズに応え、利用できるものは引き取り、他に必要とする人に譲る仕組みを集落支援員がつくりました。

この古道具屋さんは教育委員会が管理していた旧保育園の施設を活用したものです。
現在は土日のみの営業ですが、月に1度のケーキの日など、イベントも多数開催されています。
古道具を買い求める人だけでなく、子連れや島内のIターンで賑わう、憩いの場になっています。

 

※海士町長が書いた書籍もありますので、興味のある方はそちらもぜひ。

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