Category Archive: 世の中の事

横手市でシナリオ・プランニングを体験した話

カテゴリ:世の中の事

SecretMediaBase-MIRAI

11/23から長めの休みを取って実家に帰省しておりました。

11/24には横手にある「秘密基地MIRAI ( Secret Media Base – MIRAI – )」にて、
第4回50 aktia project(以下、5oAP)に参加してまいりました。

50APについて

50APはNPO法人Yokotterの代表である細谷拓真さんが主催するプロジェクト。
不確実な未来を、秋田に住む誰もが共有できる「秋田の未来」としてとらえるために、
これからの秋田が目指すべき目標を議論し、定めていくことを目的としています。

今回の50APは「居住の未来」がテーマ。
この日のスケジュールは以下の通りです。

50ap_menu

本題に入る前にまずは腹ごしらえということで、
紅玉さんのお弁当を頂きました。

kogyoku_deli

秋田の人たちに伝えるべき海士町の話

参加者の自己紹介タイムの後、約45分お時間をいただいて、
僕からみなさんに海士町の話を紹介させていただきました。

僕が海士町を知り、訪れ、移住した経緯について触れつつ、
Iターンの視点から海士町の魅力を伝える。
少し時間オーバーしましたが、その後は質問も多数頂きました。
時間の都合で回答できなかったものもありましたが、
FBなどで可能な限りお答えできればと思っています。

僕が伝えたかったのは

・『やりゃええだわい』という言葉
・フェアであること
・「世間は狭い!」
・「ないものはない」のスタンス
などなど

少しでも海士の魅力を伝えられたなら幸いです。

IMG_1207

「シナリオ・プランニング」と未来新聞づくり

続いて「シナリオ・プランニング」に入ります。

ワークショップに参加することは少なくないと思いますが、
今回はじめての「シナリオ・プランニング」となります。
結論から言うと、実に刺激的で面白いワークでした。

まずは2050年に起こりうることを想像して書き出す「サイレント・ブレインストーミング」(一人ブレスト)。
通常、ワークショップはブレストや対話がメインであるケースが多いと思います。
今回は「Society」「Technology」「Economy」「Politics」の4グループに分かれて座りましたが、
まずは一人で黙々と付箋に書き出す作業から入ります。

この孤独な作業がまず面白い。
ついつい「起こりそうなこと」ばかりに目が行き、すぐにアイデアが枯渇してしまいます。
どれだけ冒険できるか。自分の発想の限界との挑戦はなかなかエキサイティングでした。

その後、それぞれ書き出したものをグループで確認しあい、
グルーピングしたり、新しいアイデアを加えた後、
アイデアを「インパクトの大きいもの」と「インパクトの小さいもの」に分け、
その中で不確実性の高いものを選んでいきます。

グループでのワークが終わり、今度は全員で面白いアイデアに投票していきます。
注意すべき点は、「不確実性の高いこと」に投票すること。
4つの分野について1人3票。投票が終わったら、人気の高かったアイデアを上位5つずつ貼りだします。

step_ideas

 

全員でシェアした後は「マトリックス・マッピング」に入ります。

matrix_mapping_intro

 

細谷さんからの解説が入ります。
たとえば「出生率」の軸と「収入格差」の軸をとるとしましょう。
そして「出生率」の軸の両端を「(出生率が)2倍になる」「半分になる」と、
「収入格差」の軸の両端を「(収入格差が)拡大する」「縮小する」ととります。
そうするとマトリックスに以下の4象限がとれます。

・出生率:2倍になる 収入格差:拡大する
・出生率:2倍になる 収入格差:縮小する
・出生率:半分になる 収入格差:拡大する
・出生率:半分になる 収入格差:縮小する

この4象限についてそれぞれ「未来新聞」を書いていきます。
出生率が2倍で収入格差が拡大する世の中で起こりうることとはなにか。
2050年に起こりうることを想像し、2050年の新聞を全員で書いていきます。

「マトリックス・マッピング」はこの軸選びの作業。
未来新聞づくりに向けて、非常に重要なワークになります。

まずはおなじみ?「サイレント・ブレインストーミング」。
軸になる項目とその両端を黙々と書き上げていきます。
「居住の未来」のテーマに沿った軸を考えるのが意外と難しい…!

それから全員の付箋をホワイトボードに貼りだして、投票。

matrix_axes

 

こんな感じのアイデアが出ました。

大量の軸候補から複数票が入ったものをさらに絞り込み、決選投票。
選ばれたのは、以下の2軸です。

・医療費が 5倍になる/無料になる
・住居の主流が 集合住宅になる/一軒家になる

mirai_paper_before

こうして浮かび上がる4象限をいよいよ「未来新聞」として具体化していきます。

最後のワークも実に面白い。
4グループに分かれ記事を書きはじめますが、5分で隣の新聞作成に移ります。
当然5分で書き上げられるわけないですが、途中でも移動しなければなりません。
次のグループは中途半端なままの記事を見て、その意図を想像しながら続きを書きます。
5分×4回で4つの新聞に全員が関わった後、ワークは終了。
出来上がった新聞をもう一度見渡、推測を織り交ぜて発表に入ります。

mirai_paper_1 IMG_1222

IMG_1221 IMG_1219

あっという間の2時間だったのでした。

「シナリオ・プランニング」を振り返ってみて

・「サイレント・ストーミング」

ワークショップはコラボレーションが基本だと思っていましたが、
沈黙した場で各自がワークに没頭する時間にはまた違った面白さがあります。

自分の頭が強制的に活性化される感じ、心地よい疲労感は癖になりそうです…。

・「限られた時間」

内容が充実しておりゴールもあるプログラム。
果たして2時間で終わるのかな?と最初は若干不安が…。

ふたを開けてみると、たしかに各ワークの時間は短めでしたが、
かえって集中力が増し、密度が濃ゆくなったと感じました。

・「求められる想像力」

未来を考えるというのは、実はふだんはやらないこと。
もちろん、これには想像力が必要になります。

意外だったのは、参加者間でも想像力が求められること。
十分にコミュニケーションを取り、合意形成をした上でワークに入るわけではないので、
それぞれがそれぞれの意図を推察し、想像することがワークの鍵となります。

会話するとついつい理解しあえたような気になってしまいます。
アイデアだけが目の前にある状態だと、その意図を想像せざるを得ません。
これは面白かったなー。

・目線合わせの難しさ

手順があり、ゴールのある作業をする上で参加者の目線を合わせるのは、
ワールドカフェのような手法に比べ難しいなと感じました。
僕自身、ワークの途中で目的を見失っていることを自覚することが多かったです。

悔いが残る部分もありますが、次へのモチベーションにつながるという意味ではよかったのかもしれません。

 

何より、プログラム終了後の、長距離を走り終わった後のような参加者の顔が印象的なワークでした。
ワーク後も参加者同士で盛り上がり、日曜日の夜にもかかわらず、僕が会場を後にしたのは23時過ぎ。

シナリオ・プランニング、個人的にも勉強したいなと。
いろいろと学びの多い1日でした。

わざわざ横手まで来た甲斐があったというものです!
参加者の皆さん、ありがとうございましたー!

 

関連する記事

若者をレールから外させようとする無責任な大人たち

カテゴリ:世の中の事

茂木健一郎に騙されて通信制高校からAO入試受けた結果wwww

東大生をバカ呼ばわりして煽った茂木健一郎氏の被害者がここにも。

僕は丁度、テレビを見ていた。すると、僕と同じ高校生なのに、学校とは別に団体を作ってボランティア活動に従事したり、あるいはビジネスで大人の人と渡り合い、あるいは海外で外国の経営者や政治家と直接話し合っている高校生が特集されていた。いわゆる「意識の高い学生」である。
今ではどうやらこの言葉は大学生を主として使われているらしいが、僕の場合この意識の高い高校生を見て衝撃を受けたのである。そして、「これこそ今僕がやるべきことだ」と「気づいて」しまったのであった。

やっぱり高校生は今のうちにしっかり勉強しとけ(前半)

本当の意味で「突き抜けている」学生は、たいていの場合自分が突き抜けていることにさえ気がついていない天才肌なのだ。確かに、「これこれこうで、こうしたいから自分はこうする」と、自らの情熱を制御して結果的に周りから見て突き抜けている学生も、いるにはいる。片手で数えられるほどには。
それ以外は、「気がついたら自分は周りから持ち上げられていて、テレビや雑誌からも取材を受けて、なんか大学にも推薦で合格していた」ってタイプだ。
これは起業とかにもいえるだろうが、どちらにしろ、本気で高校生時代に才能を開花させ、抜きん出ることのできる学生はほんの一握りだということを肝に銘じておいたほうがいい。あくまで僕の予測だが、そんな人は興味を示し集まってきた中で一万、いや十万人に一人いるかいないかだろう。

やっぱり高校生は今のうちにしっかり勉強しとけ(後半)

身近に近い事例があったので、他人事として流すことのできない切実さがありました。

大学生や若者を社会貢献や起業に駆り立てる言説は数多くあります。
若者たちも自分の評価が”括弧付き”のものであることになかなか気づけません。

高校生や大学生が故郷への思いを語ったり、将来の夢を表現したりすると、たいていは「いい」反応がかえってきます。

「すごいね」「よく考えているね」

これに気をよくしてはいけません。

「(高校生の割に)すごいね」「(大学生にしては)よく考えているね」

こう枕詞がついていることに自覚的でないと、社会に出てから(或いは一定の時期を過ぎると)痛い目を見ることになります。

「で、考えているだけで何もしていないんでしょ?」「そんなの、社会で通用しないよ」

今までずっと誉めそやされてきたのに、突然カウンターパンチを喰らうかもしれません。
これは特に「プレゼンがうまい」人によく見られる傾向であるように思います。

若いというだけで評価されていることに気づかないといけない | 秋田で幸せな暮らしを考える

高校に入学し、大学に入学し、新卒で就職して3年間働く、いわゆる「ストレーター」が4割程度と言われる時代
終身雇用制が半ば崩壊し、レールに乗りつづけることが難しくなっているのは事実です。

そうした時代背景から、若者に対して「レールから外れろ」「学歴なんて無駄だ」と主張する人が増えています。
茂木健一郎氏はその典型例ですね。果ては「海外に行け」、「起業しろ」なんて言い出すわけです。

「レールから外れろ」と言うこと自体には反対しません。
わずか1年半で会社を辞めて離島に移住した僕も「レールから外れた」側です。

僕が言いたいのは、「レールから外れろ」という言葉に責任を持て、ということです。
「レールに乗る」ことは、レール自体の信頼性が落ちた現在もなお、リスクの低い選択肢です。
同じ道を通る人が多いからこそ、可能な選択肢の幅を広くとることができるのも大きなメリットです。
逆に言えば、「レールから外れる」とはリスクをすべて自分で引き受け、自ら道を拓け、ということ。
若者にリスクの高い選択をさせることに対して、大人たちはどこまで責任を持てるのか?
無責任な大人たちばかりの世の中に辟易している僕が言いたいのは、その一点です。

リスクを引き受けない「無謀」な若者を、これ以上増やさないために。

関連する記事

地域資源を活用したイベントを通じた移住・定住促進の仕組み素案

カテゴリ:世の中の事

なんだか論文かレポートのタイトルみたいですが。

先日、兵庫県の高校生と島の高校生とのディスカッションに参加しました。
お題は「島前地域を元気にするイベントを考えてください」。

・島前地域の課題とは何か。
・地域の「元気」とはどういう状態を指すか
・以上を踏まえてどのようなイベントが効果的か

イベントの是非は一旦脇に置きつつ、プロセスや価値観を重視した議論となりました。

地域の課題はやっぱり人口減少

生徒+大人30名を5班に分けてのグループディスカッション。
どの班からも課題として挙がったのが、「少子高齢化」。
「後継者不足」「仕事がない」なんて課題も出ましたね。

「少子高齢化」。21世紀における日本の最たる課題です。
単純に考えれば、Uターン率の向上、あるいは定住促進につなげる必要が出てきます。

しかし、単に「収益が上がる」「観光客が増える」が定住促進にはつながりません。
「面白いイベントがある」からUターンする、というのも相当にロジックを積まない限り、そう簡単に説明できるものではないでしょう。

このあたりがやはり既存の「イベント」そのものの難しさだなあと感じました。

それでも定住促進につなげるイベントを

僕がいた班ではこういうアイデアが出ました。

スポーツイベントは人が集まる。でもただマラソン大会なんかしても魅力がない。
競技中に山菜や海産物を採集し、ゴールしたあとに調理するイベントはどうか。

これ、元ネタは北海道のカレーライスマラソンです。
詳しくはリンク先を見ていただきたいのですが、結構面白そうですよね。

実現可能性はともかく、「人を集める」に関しては、悪くないなあという感じがします。
では、「移住・定住促進」についてはどうか。
ここはやはり高校生にとっては実感のわかない課題のようで、意見もなかなか出ませんでした。

ここからはジャストアイデアです。

「スポーツイベント」に「スカウト」制度を取り込んだらどうか、と。

スポーツイベントで上位に入るような体力の持ち主であれば
島の第一次産業の担い手としてはもってこい。

さらに山菜、海産物の採集がミッションになるのならば、
島で暮らす者として、あるいは漁師としての適正を見極められるかもしれません。

イベント後の交流会などでめぼしい参加者に島の人が声をかけ、スカウトする。
島外の人が島(の人)を気に入るように、というのはどうも一方通行な感じがします。
島内の人が島外の人を気に入る、住んでほしいと思える機会も必要なのかなと。

さらには、引きこもり支援の一環で、島外から引きこもりの人を集めて毎日トレーニングし、
数ヶ月のトレーニング後に本番のマラソン大会を走ってもらう、みたいなやり方もありかなと。
「心」のケアは田舎では難しいものですが、「体力づくり」「マラソン完走」を目標にすれば、
関わり方もシンプルになるし、目標が達成できることで自信を持つことができるはずです。
もしかしたら島を気に入って、そのまま残ってくれるようになるかもしれません。
ここでも「スカウト」が機能する可能性はあります。

声を掛けることで記憶に残る

「スカウト」をアイデアとして提示したのには理由があります。
ほかならぬ僕自身が、学生時代に海士に来たときに「スカウト」を受けたからです。
本気ではないと分かりつつも、「こげな仕事あっけん、来てごせな」といわれると、
やっぱり頭の片隅に残るんですね。「こういう可能性もあるかもなぁ」と。

そのときは単なる「可能性」かもしれませんが、転機が訪れたときに、
「スカウトされた」という記憶が蘇り、有力な「選択肢」となるかもしれないのです。
(事実、僕がそうでしたから)

「ありがとう」、「また来てね」。
イベントで地域の人から送られる言葉は、どうしても全体に向けたものになりがち。
参加者一人一人との関係性をつくることが、リピーターづくりにつながり、
もしかしたら移住・定住促進につながるのではないか。

そんなことを思いながら、この記事を書いてみたのでした。

関連する記事