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思い通りにならない相手を安易に「敵」にする危うさ

カテゴリ:自分事

なかなか思うように動いてくれない相手に苛立ちを感じることは誰にだってあります。
そもそも、相手が思い通りに動くように働きかけることは非常に難しいことです。
そして、実際の人間生活ではそのような相手を安易に「敵」とみなして行動してしまうことも、少なくありません。

ところが、往々にして「敵」とみなされた相手は一層こちらの意図を汲まなくなるものです。
相手を反抗的であると捉えていれば、その認識が端々で相手に伝わるからです。

より大きな視点で捉えると、「敵」とみなす相手がそもそも間違っていることが多いはずです。
「地域活性化」のような抽象的で大きな目的がある中では、同じ地域に住む人は「敵」ではなくステークホルダーです。
当然各自は自分たちの利害を計算した上で動きますから、総論賛成・各論反対の構図は一般的と言っていい。
しかしながら、総論賛成のステークホルダーを「敵」とみなすと、こちら側も大きな目的がぶれていきます。

チームには「敵」が必要

チームワークとは、チームが「共通の敵を持つこと」で生み出される。「チームをまとめるためには敵を探そう」が、リーダーが身につけるべき方法論でもある。

「敵」という存在は、対立や排除の対象であって、概念を共有した上で、それを「敵」と名指しすることで、チームには「何をやらないのか」、「誰に嫌われるのか」が共有される。

チームワークとは「いい敵」の共有 – レジデント初期研修用資料

「敵」の設定はチームワークに大きな影響を及ぼします。
何を打倒するか。目的達成のために障壁となっているものは何か。

「敵」をステークホルダーの外部に置くと、やるべきことが具体的に見えてくることがあります。
例えば、法制度。制度変更をゴールに据えると、各自がそれぞれの立場でやるべきことが見えやすくなります。
思うように動かないステークホルダーを「敵」とするのではなく、そのステークホルダーと共闘すべき「敵」を設定すればよいのです。

戦略の品質は、「敵」の品質が決定する。リーダーが名指しするのは、ただの敵ではなく、「いい敵」でないといけない。

いわゆる的ないじめは、数を頼んだ単なる暴力であって、敵を名指しした結果のチームプレーとは違う。リーダーが「いい敵」を見つけることに成功できれば、むしろ「敵に勝つ」必要は消失してしまう。強大な敵に団結ししたチームが大胆な戦いを挑み、敵味方の対立物語は盛り上がり、開発も顧客も一緒になって、そうした構図をずっと楽しめる。

チームワークとは「いい敵」の共有 – レジデント初期研修用資料

ステークホルダー内に「敵」を設定し、それをその他全員でつぶすというのもなくはないのでしょうが、そのゴールが本来の目的と一致していない限りはあまり有効とはいえないでしょう。
共闘の状態に持ち込み、内輪の対立に傾けていたエネルギーを正しいゴールに注いでもらうことがベターなはずです。

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