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アクションラーニングの試行と備忘録

カテゴリ:自分事

ぼんやりとした課題意識から出発し、
組織を越えてお互いの問題を共有するような場として
有志で勉強会を開こう、というのが最近の企て。

その勉強会のネタとして冒頭の本に代表される
(以下、AL)」を導入しようと考えている。

良質な問いを追及するアクションラーニングについてのメモ

というわけで先日ALを試行してみた。

思いがけずうまくいった(とみんなが感じた)のだが、
「なぜうまくいったのか」「うまくいっていないことはなかったか」等
自分の中で説明が付けられない部分も多い。

改めて「実践 アクションラーニング入門」を読み直しながら、
感じたことを備忘録的にまとめたい。

マルチプル問題アプローチの利点を生かす

今回集まったのは僕を含めて4名。計3組織からの参加となった。
年齢構成は20代後半~30代で、Iターンとしては平均的。
男女比はたまたま2:2とバランスがよかった。

今回の形式は参加する各自がそれぞれの問題を持ち寄る
「マルチプル問題アプローチ」に近い。
改めて該当部分を読んでみると、思い当たる節がいくつかあった。

最も大きな利点は、メンバーは自分の問題に専念できるので、結果として、問題への洞察力やアイデア、解決策を得ることができるということである。

実践 アクションラーニング入門

これはまさに狙うところであり、
呼びかけの段階での期待値に沿うところであった。

自分の部署外の人、または自分の部下でない人と問題を共有するとき、メンバーは、同僚と問題を話し合うときにはありえないと思われる、課題、懸念、各人の性格、脆弱さなどを共有する心地よさと自由を手に入れることができる。

実践 アクションラーニング入門

ここもある程度狙い通りだったと言える。
率直な質問と回答のやり取りの中で、
問題のベールが1枚ずつはがれていく感覚を共有できたと思う。

ただ、問題提示者は絶え間なく質問されることで
「逃げられない」「答えなければならない」と感じたと話していた。
この辺りのさじ加減は研究が必要そうだ。

グループに持ち込まれる問題は、その問題に直面しているメンバーにとって緊急で、個人的・精神的苦痛を伴うものである。あるメンバーにとって重要で意味のある問題の解決を手助けすることが、他のメンバーに満足感と充実感をもたらす。

実践 アクションラーニング入門

たしかに、何らかの充実感と言うか、
問題提示者の視点が共有されることで共感が生まれ、
問題が明瞭になることで健やかな気持ちになれた気がする。

当初の期待値を越える結果だったという感想ばかりだったのも、
事後の心地よさによるものだったかもしれない。

個人的な問題を他者と共有することは、意義ある洞察―自分のもんだいが決して特別ではないこと、他の人も似たような問題を抱えていること、自分はそれほどダメなマネージャーではないこと―を引き出す。この気づきが大いなる助けとなり、自信につながる。

実践 アクションラーニング入門

問題提示者が最終的に再定義した問題のありさまは、
僕自身にとっても大きな気づきとなっている。
最初に提示された問題がまさかそう再定義されるとは、
という驚きもまた、その気づきを深める方に働いた気がする。

総じて、ある一人の問題が解決されることで、
他のメンバーも学べると実感できたのは収穫だった。

「良質な問いの可能性」という仮説検証の失敗

一方、アクションラーニングの肝である
「質問」については手応えを得ることができなかった。

質問と回答を繰り返すことで、
確かに場には良い変化が幾度かもたらされたのだが、
(メンバーが「おおー」と声を上げるシーンはあった)
個人的な感触としては、それは問いの質というよりも
問題提供者の内省力に依るところが大きかったように思う。

幾度かの「おおー」のシーンを振り返ってみると

(1)先に提出された問題が書き替えられると「おおー」となる
(2)セッション中のリフレクション後に問題の書き換えが起こった
(3)問題を深めたり、具体的にしようとしたりするよりも
 視点を変えたりそもそもを問うた後の方が「おおー」となりやすい

という印象がある。
(1)については思い返してみると想定通りではあるが、
(2)については思わぬ副次的効果だった。
(3)についてもある程度想定通りではあるものの、
セッションにおける問いはきっかけにすぎず、
それをどう受け止めて展開させるかという点において
問題提示者に依拠していた部分が目立ったかなと。

個人的な物足りなさは、「問い」そのものによって
「おおー」となるシーンがなかったことによるのかもしれない。

もう少し回数を重ねることで要点が見いだせる気がする。
他の参加者のフィードバックも集めないと。

まとめ:収穫と今後の課題

[収穫]
・「質問」と「回答」に絞るやり取りの可能性を実感できた
→「おおー」となるシーンが生まれたのは大きい
・「楽しかった」という感想を得られた
・月1回開催の負担はそう大きくなさそうと思えた

[今後の課題]
・「良質な問いとは何か」というテーゼ自体の問い直し
→縛られすぎるとかえって迷子になりそうである
・リフレクションの質を上げる
→「おおー」となるダイナミズムをチームでつくれなければ
 ALで学び、持ち帰るということが難しい

総じて出だしとしては良好だったと思う。
この勉強会の後の話まで考えると複雑になるので、
まずは勉強会自体を良質なものにすることにフォーカスしたい。

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