アクションラーニングの試行と備忘録
カテゴリ:自分事 2015/06/29
ぼんやりとした課題意識から出発し、
組織を越えてお互いの問題を共有するような場として
有志で勉強会を開こう、というのが最近の企て。その勉強会のネタとして冒頭の本に代表される
「アクションラーニング(以下、AL)」を導入しようと考えている。
というわけで先日ALを試行してみた。
思いがけずうまくいった(とみんなが感じた)のだが、
「なぜうまくいったのか」「うまくいっていないことはなかったか」等
自分の中で説明が付けられない部分も多い。
改めて「実践 アクションラーニング入門」を読み直しながら、
感じたことを備忘録的にまとめたい。
マルチプル問題アプローチの利点を生かす
今回集まったのは僕を含めて4名。計3組織からの参加となった。
年齢構成は20代後半~30代で、Iターンとしては平均的。
男女比はたまたま2:2とバランスがよかった。
今回の形式は参加する各自がそれぞれの問題を持ち寄る
「マルチプル問題アプローチ」に近い。
改めて該当部分を読んでみると、思い当たる節がいくつかあった。
最も大きな利点は、メンバーは自分の問題に専念できるので、結果として、問題への洞察力やアイデア、解決策を得ることができるということである。
これはまさに狙うところであり、
呼びかけの段階での期待値に沿うところであった。
自分の部署外の人、または自分の部下でない人と問題を共有するとき、メンバーは、同僚と問題を話し合うときにはありえないと思われる、課題、懸念、各人の性格、脆弱さなどを共有する心地よさと自由を手に入れることができる。
ここもある程度狙い通りだったと言える。
率直な質問と回答のやり取りの中で、
問題のベールが1枚ずつはがれていく感覚を共有できたと思う。
ただ、問題提示者は絶え間なく質問されることで
「逃げられない」「答えなければならない」と感じたと話していた。
この辺りのさじ加減は研究が必要そうだ。
グループに持ち込まれる問題は、その問題に直面しているメンバーにとって緊急で、個人的・精神的苦痛を伴うものである。あるメンバーにとって重要で意味のある問題の解決を手助けすることが、他のメンバーに満足感と充実感をもたらす。
たしかに、何らかの充実感と言うか、
問題提示者の視点が共有されることで共感が生まれ、
問題が明瞭になることで健やかな気持ちになれた気がする。
当初の期待値を越える結果だったという感想ばかりだったのも、
事後の心地よさによるものだったかもしれない。
個人的な問題を他者と共有することは、意義ある洞察―自分のもんだいが決して特別ではないこと、他の人も似たような問題を抱えていること、自分はそれほどダメなマネージャーではないこと―を引き出す。この気づきが大いなる助けとなり、自信につながる。
問題提示者が最終的に再定義した問題のありさまは、
僕自身にとっても大きな気づきとなっている。
最初に提示された問題がまさかそう再定義されるとは、
という驚きもまた、その気づきを深める方に働いた気がする。
総じて、ある一人の問題が解決されることで、
他のメンバーも学べると実感できたのは収穫だった。
「良質な問いの可能性」という仮説検証の失敗
一方、アクションラーニングの肝である
「質問」については手応えを得ることができなかった。
質問と回答を繰り返すことで、
確かに場には良い変化が幾度かもたらされたのだが、
(メンバーが「おおー」と声を上げるシーンはあった)
個人的な感触としては、それは問いの質というよりも
問題提供者の内省力に依るところが大きかったように思う。
幾度かの「おおー」のシーンを振り返ってみると
(1)先に提出された問題が書き替えられると「おおー」となる
(2)セッション中のリフレクション後に問題の書き換えが起こった
(3)問題を深めたり、具体的にしようとしたりするよりも
視点を変えたりそもそもを問うた後の方が「おおー」となりやすい
という印象がある。
(1)については思い返してみると想定通りではあるが、
(2)については思わぬ副次的効果だった。
(3)についてもある程度想定通りではあるものの、
セッションにおける問いはきっかけにすぎず、
それをどう受け止めて展開させるかという点において
問題提示者に依拠していた部分が目立ったかなと。
個人的な物足りなさは、「問い」そのものによって
「おおー」となるシーンがなかったことによるのかもしれない。
もう少し回数を重ねることで要点が見いだせる気がする。
他の参加者のフィードバックも集めないと。
まとめ:収穫と今後の課題
[収穫]
・「質問」と「回答」に絞るやり取りの可能性を実感できた
→「おおー」となるシーンが生まれたのは大きい
・「楽しかった」という感想を得られた
・月1回開催の負担はそう大きくなさそうと思えた
[今後の課題]
・「良質な問いとは何か」というテーゼ自体の問い直し
→縛られすぎるとかえって迷子になりそうである
・リフレクションの質を上げる
→「おおー」となるダイナミズムをチームでつくれなければ
ALで学び、持ち帰るということが難しい
総じて出だしとしては良好だったと思う。
この勉強会の後の話まで考えると複雑になるので、
まずは勉強会自体を良質なものにすることにフォーカスしたい。