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秋田県五城目町に移住しました

カテゴリ:自分事

この3月末に、約5年半を過ごした海士町を離れ、
秋田県の五城目町に移住することとなった。
地元は大仙市神宮寺(旧神岡町)だったのだけど、
いろいろな縁がつながってこの五城目町に決めた。

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就職活動を始めたあたりからずっと、
将来は秋田に戻ろうと思っていた。
そこは東京からさらに離れた海士町に移住してからも
ずっと変わることのない、一貫した軸だった。
メールアドレスは「30才までに秋田に帰る」と宣言していた。

「本当に秋田が好きなんですね」とよく言われるが、
どうしても秋田でなければならない理由というものが実はない。

「好きに理由はいらない」とかそういう話ではなくて。
僕は田舎が向いていないという自覚を持っているし、
どちらかというと秋田が嫌になって出たのだけれど、
さらにその懸念点は10年ちょっとで解消されるわけもなく、
いよいよその渦中に飛び込まざるを得ないという状況認識がある。

それでも、「秋田に戻る」という方向性が揺らぐことはなかった。
思うに、僕は就職活動の時点で、自分の出番や役割が
将来の秋田にある(し、つくれる)と直感していたようだ。

それはどうしたって「直感」なのだけれど、
この手のインスピレーションは従っておいてまず損はない。
むしろこの「直感」が、自分の奥底から生まれる素直な「感性」こそが、
これまでに自分が育み培ってきた数少ないものの一つだと思う。

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海士から秋田に戻るまで、約2週間ほどかけて
松江、京都、大阪、和歌山、横浜、東京、福島、宮城を、
行きたい場所でなく会いたい人を辿るように巡ってきた。
その旅路があって、僕は自分にとって能力やスキルよりも
「感性」こそが重要なのだと気づくことができた。
それは、今後も折に触れて立ち返る原点になるのだろう。

 

ふと、このブログのタイトルが目に留まる。

秋田で幸せな暮らしを考える

いよいよ秋田に戻ってきたのだな、と思う。

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夏の終わりに考えていること

カテゴリ:自分事

海士町に移住してあと3ヶ月足らずで5年が経つ。

今年は、自分の見聞を広める一年にしよう。

そう思い立って、なるべく島外に足を運ぶ機会をつくっている。
まだまだ海士町という地にも足が着いていないのだけど。

この島の日々の中で学んだこととか、気づいたこととか、
考え続けたこと、考えるのをやめたこと。

いったん意識が島の外に向くと、
ひとつの方針の下に集積しつつあったそれらは
徐々に焦点がぼやけ、境界が曖昧になり、散開し始める。

僕は一つの場所で確かに5年足らずを過ごした人間であり、
きっと何かを語ることができるしそうしてきたのだけれど、
その一方で語るべきことが解体されつつあるのが今。

一言で言えば暗中模索という感じ。
それでも「光明」と呼べそうなものが
いくらかでも手元に残っている。

コンテンツとしてのICT教育×PBL

ツールとしてのICT教育も気にはなっているけど、
プログラミング講座の方にもっと関わりたい、と思う。
技術を身に付けたい純粋な欲求もある。

技術やスキルはそれを持つ人が
具体的に社会に影響を与える手助けをする。
プログラミングとPBLの親和性はかなり高いはずだ。

たとえば高校生が学校の授業の一環で
地域社会の課題解決に取り組むケースが増えている。
こうしたとき高校生が技術を持っていたら、
課題解決が「提案」で収まることなんてないと思う。

「現場」を重視するなら「実践」をこそ重視したいものだ。

「会社」「雇用」の枠にとらわれない「仕事」

島で暮らしていると、仕事はつくるものだとよくわかる。
「職場」「肩書」の縛りをうまく統合できれば、
もっと自由にかつクリエイティブな仕事ができるはず。

全然言語化できていないんだけど、
少しずつ輪郭が見えてきたような気がする。
この1年のうちで1つでも実践できればいいのだけど。

まずは今の職場を週4日勤務にするくらいでないと。


(新装版が出ていたのは知らなかった)

いわゆる「教育」の枠にはまらない関わり方

「やっぱり将来も教育の仕事に携わるの?」
「いつ秋田に塾つくるの?」

良く聞かれることだが、いい加減うんざりしている。
一般的なイメージとしての「教育」の領域は非常に狭い。
そんな枠組みに収まるために島になんか来ていない。

正直なところ、「教育者」的な関わりには飽きつつある。
「地域のおっちゃん」みたいな関わり方、
もっと言えば相手が高校生であっても同じ市民として、
あるいは仲間として接していきたいとなんとなく思っている。

これは取り立てて新しい概念ではない。
「教育」という既存の枠に当てはまらないがために
なかなか説明しても伝わらないのだけど。

家族を持ち、地域の一員となる

やっぱり家族持ちたいなって思わされるのが島暮らし。
誰もが家族を持つべきと言うつもりはさらさらないが、
ブログのタイトルにもある「幸せな暮らし」の実現のため、
少なくとも僕にとってそれはとても大事なもののようだ。

「秋田」にこだわる理由

ふるさとである秋田への思い入れについて語るとき、
「別にいい思い出があるわけでもない」とは
なかなか言い出しづらいものがある。

WE LOVE AKITAという活動に2008年末から関わっているが、
僕の秋田愛は人や場所との出会いによって育まれた。
つまり、WLAに関わった以後がポイントになっている。

そうして育まれた愛着が他のどの地域にもましてあるから、
「秋田」という土地にこだわっている。
もしかしたら、ただそれだけでしかないのかも、と最近思っている。

まとめ:現在地を確かめるために

当たり前だったことの意義が問いなおされている中で、
心ここにあらず、の一歩手前にいる心地がしている。

この島にいる自分がどういう位置に立っているのか。

たぶん、それが知りたくて島の外にある情報や機会に
もっと目を向けるようになっているのだろうと思う。

仕事と暮らしの手応えはどうしても薄れてしまうが、
様々なことをフラットに見ることができている今のうちに
様々な場所から現在地を眺める試みにいそしみたい。

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横手市でシナリオ・プランニングを体験した話

カテゴリ:世の中の事

SecretMediaBase-MIRAI

11/23から長めの休みを取って実家に帰省しておりました。

11/24には横手にある「秘密基地MIRAI ( Secret Media Base – MIRAI – )」にて、
第4回50 aktia project(以下、5oAP)に参加してまいりました。

50APについて

50APはNPO法人Yokotterの代表である細谷拓真さんが主催するプロジェクト。
不確実な未来を、秋田に住む誰もが共有できる「秋田の未来」としてとらえるために、
これからの秋田が目指すべき目標を議論し、定めていくことを目的としています。

今回の50APは「居住の未来」がテーマ。
この日のスケジュールは以下の通りです。

50ap_menu

本題に入る前にまずは腹ごしらえということで、
紅玉さんのお弁当を頂きました。

kogyoku_deli

秋田の人たちに伝えるべき海士町の話

参加者の自己紹介タイムの後、約45分お時間をいただいて、
僕からみなさんに海士町の話を紹介させていただきました。

僕が海士町を知り、訪れ、移住した経緯について触れつつ、
Iターンの視点から海士町の魅力を伝える。
少し時間オーバーしましたが、その後は質問も多数頂きました。
時間の都合で回答できなかったものもありましたが、
FBなどで可能な限りお答えできればと思っています。

僕が伝えたかったのは

・『やりゃええだわい』という言葉
・フェアであること
・「世間は狭い!」
・「ないものはない」のスタンス
などなど

少しでも海士の魅力を伝えられたなら幸いです。

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「シナリオ・プランニング」と未来新聞づくり

続いて「シナリオ・プランニング」に入ります。

ワークショップに参加することは少なくないと思いますが、
今回はじめての「シナリオ・プランニング」となります。
結論から言うと、実に刺激的で面白いワークでした。

まずは2050年に起こりうることを想像して書き出す「サイレント・ブレインストーミング」(一人ブレスト)。
通常、ワークショップはブレストや対話がメインであるケースが多いと思います。
今回は「Society」「Technology」「Economy」「Politics」の4グループに分かれて座りましたが、
まずは一人で黙々と付箋に書き出す作業から入ります。

この孤独な作業がまず面白い。
ついつい「起こりそうなこと」ばかりに目が行き、すぐにアイデアが枯渇してしまいます。
どれだけ冒険できるか。自分の発想の限界との挑戦はなかなかエキサイティングでした。

その後、それぞれ書き出したものをグループで確認しあい、
グルーピングしたり、新しいアイデアを加えた後、
アイデアを「インパクトの大きいもの」と「インパクトの小さいもの」に分け、
その中で不確実性の高いものを選んでいきます。

グループでのワークが終わり、今度は全員で面白いアイデアに投票していきます。
注意すべき点は、「不確実性の高いこと」に投票すること。
4つの分野について1人3票。投票が終わったら、人気の高かったアイデアを上位5つずつ貼りだします。

step_ideas

 

全員でシェアした後は「マトリックス・マッピング」に入ります。

matrix_mapping_intro

 

細谷さんからの解説が入ります。
たとえば「出生率」の軸と「収入格差」の軸をとるとしましょう。
そして「出生率」の軸の両端を「(出生率が)2倍になる」「半分になる」と、
「収入格差」の軸の両端を「(収入格差が)拡大する」「縮小する」ととります。
そうするとマトリックスに以下の4象限がとれます。

・出生率:2倍になる 収入格差:拡大する
・出生率:2倍になる 収入格差:縮小する
・出生率:半分になる 収入格差:拡大する
・出生率:半分になる 収入格差:縮小する

この4象限についてそれぞれ「未来新聞」を書いていきます。
出生率が2倍で収入格差が拡大する世の中で起こりうることとはなにか。
2050年に起こりうることを想像し、2050年の新聞を全員で書いていきます。

「マトリックス・マッピング」はこの軸選びの作業。
未来新聞づくりに向けて、非常に重要なワークになります。

まずはおなじみ?「サイレント・ブレインストーミング」。
軸になる項目とその両端を黙々と書き上げていきます。
「居住の未来」のテーマに沿った軸を考えるのが意外と難しい…!

それから全員の付箋をホワイトボードに貼りだして、投票。

matrix_axes

 

こんな感じのアイデアが出ました。

大量の軸候補から複数票が入ったものをさらに絞り込み、決選投票。
選ばれたのは、以下の2軸です。

・医療費が 5倍になる/無料になる
・住居の主流が 集合住宅になる/一軒家になる

mirai_paper_before

こうして浮かび上がる4象限をいよいよ「未来新聞」として具体化していきます。

最後のワークも実に面白い。
4グループに分かれ記事を書きはじめますが、5分で隣の新聞作成に移ります。
当然5分で書き上げられるわけないですが、途中でも移動しなければなりません。
次のグループは中途半端なままの記事を見て、その意図を想像しながら続きを書きます。
5分×4回で4つの新聞に全員が関わった後、ワークは終了。
出来上がった新聞をもう一度見渡、推測を織り交ぜて発表に入ります。

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あっという間の2時間だったのでした。

「シナリオ・プランニング」を振り返ってみて

・「サイレント・ストーミング」

ワークショップはコラボレーションが基本だと思っていましたが、
沈黙した場で各自がワークに没頭する時間にはまた違った面白さがあります。

自分の頭が強制的に活性化される感じ、心地よい疲労感は癖になりそうです…。

・「限られた時間」

内容が充実しておりゴールもあるプログラム。
果たして2時間で終わるのかな?と最初は若干不安が…。

ふたを開けてみると、たしかに各ワークの時間は短めでしたが、
かえって集中力が増し、密度が濃ゆくなったと感じました。

・「求められる想像力」

未来を考えるというのは、実はふだんはやらないこと。
もちろん、これには想像力が必要になります。

意外だったのは、参加者間でも想像力が求められること。
十分にコミュニケーションを取り、合意形成をした上でワークに入るわけではないので、
それぞれがそれぞれの意図を推察し、想像することがワークの鍵となります。

会話するとついつい理解しあえたような気になってしまいます。
アイデアだけが目の前にある状態だと、その意図を想像せざるを得ません。
これは面白かったなー。

・目線合わせの難しさ

手順があり、ゴールのある作業をする上で参加者の目線を合わせるのは、
ワールドカフェのような手法に比べ難しいなと感じました。
僕自身、ワークの途中で目的を見失っていることを自覚することが多かったです。

悔いが残る部分もありますが、次へのモチベーションにつながるという意味ではよかったのかもしれません。

 

何より、プログラム終了後の、長距離を走り終わった後のような参加者の顔が印象的なワークでした。
ワーク後も参加者同士で盛り上がり、日曜日の夜にもかかわらず、僕が会場を後にしたのは23時過ぎ。

シナリオ・プランニング、個人的にも勉強したいなと。
いろいろと学びの多い1日でした。

わざわざ横手まで来た甲斐があったというものです!
参加者の皆さん、ありがとうございましたー!

 

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