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地域資源を活用したイベントを通じた移住・定住促進の仕組み素案

カテゴリ:世の中の事

なんだか論文かレポートのタイトルみたいですが。

先日、兵庫県の高校生と島の高校生とのディスカッションに参加しました。
お題は「島前地域を元気にするイベントを考えてください」。

・島前地域の課題とは何か。
・地域の「元気」とはどういう状態を指すか
・以上を踏まえてどのようなイベントが効果的か

イベントの是非は一旦脇に置きつつ、プロセスや価値観を重視した議論となりました。

地域の課題はやっぱり人口減少

生徒+大人30名を5班に分けてのグループディスカッション。
どの班からも課題として挙がったのが、「少子高齢化」。
「後継者不足」「仕事がない」なんて課題も出ましたね。

「少子高齢化」。21世紀における日本の最たる課題です。
単純に考えれば、Uターン率の向上、あるいは定住促進につなげる必要が出てきます。

しかし、単に「収益が上がる」「観光客が増える」が定住促進にはつながりません。
「面白いイベントがある」からUターンする、というのも相当にロジックを積まない限り、そう簡単に説明できるものではないでしょう。

このあたりがやはり既存の「」そのものの難しさだなあと感じました。

それでも定住促進につなげるイベントを

僕がいた班ではこういうアイデアが出ました。

スポーツイベントは人が集まる。でもただマラソン大会なんかしても魅力がない。
競技中に山菜や海産物を採集し、ゴールしたあとに調理するイベントはどうか。

これ、元ネタは北海道のカレーライスマラソンです。
詳しくはリンク先を見ていただきたいのですが、結構面白そうですよね。

実現可能性はともかく、「人を集める」に関しては、悪くないなあという感じがします。
では、「移住・定住促進」についてはどうか。
ここはやはり高校生にとっては実感のわかない課題のようで、意見もなかなか出ませんでした。

ここからはジャストアイデアです。

「スポーツイベント」に「スカウト」制度を取り込んだらどうか、と。

スポーツイベントで上位に入るような体力の持ち主であれば
島の第一次産業の担い手としてはもってこい。

さらに山菜、海産物の採集がミッションになるのならば、
島で暮らす者として、あるいは漁師としての適正を見極められるかもしれません。

イベント後の交流会などでめぼしい参加者に島の人が声をかけ、スカウトする。
島外の人が島(の人)を気に入るように、というのはどうも一方通行な感じがします。
島内の人が島外の人を気に入る、住んでほしいと思える機会も必要なのかなと。

さらには、引きこもり支援の一環で、島外から引きこもりの人を集めて毎日トレーニングし、
数ヶ月のトレーニング後に本番のマラソン大会を走ってもらう、みたいなやり方もありかなと。
「心」のケアは田舎では難しいものですが、「体力づくり」「マラソン完走」を目標にすれば、
関わり方もシンプルになるし、目標が達成できることで自信を持つことができるはずです。
もしかしたら島を気に入って、そのまま残ってくれるようになるかもしれません。
ここでも「スカウト」が機能する可能性はあります。

声を掛けることで記憶に残る

「スカウト」をアイデアとして提示したのには理由があります。
ほかならぬ僕自身が、学生時代に海士に来たときに「スカウト」を受けたからです。
本気ではないと分かりつつも、「こげな仕事あっけん、来てごせな」といわれると、
やっぱり頭の片隅に残るんですね。「こういう可能性もあるかもなぁ」と。

そのときは単なる「可能性」かもしれませんが、転機が訪れたときに、
「スカウトされた」という記憶が蘇り、有力な「選択肢」となるかもしれないのです。
(事実、僕がそうでしたから)

「ありがとう」、「また来てね」。
イベントで地域の人から送られる言葉は、どうしても全体に向けたものになりがち。
参加者一人一人との関係性をつくることが、リピーターづくりにつながり、
もしかしたら移住・定住促進につながるのではないか。

そんなことを思いながら、この記事を書いてみたのでした。

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