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あるものだけで勝負するのが楽だったとしても

カテゴリ:自分事

今日耳にしたあれこれのおかげで、気分が暗くなっている。「明日は我が身」という言葉が生々しく脳内再生される。いや、もはや、今すでにその渦中にいるのかもしれない。いつだって、自分の状況を客観視することほど難儀なものはない。

この夏に約35,000字という分量をねん出するプロセスを経て、自分の語彙力が枯渇してしまったような感覚がある。35,000字を書ききるために、一旦あるものを出し切ってしまった。それから、書くことがやや無味乾燥なものになっている。たぶん、書くという行為を通じて、僕は自分の中で言語化できていない物事に出会っていたのだと思う。出し切ったあとに自分の中から出てくる言葉に新鮮味がない。自分の文体に対して、自分自身がそろそろ退屈を覚えている。「ああ、またこの表現が出てきてしまったか」と。

去る9月にも、それなりのボリュームの文書を仕上げた。単純に分量だけカウントすると、実は10,000字を優に超えていたらしい。幸か不幸か、その作業は苦痛ではなかった。これまでの経緯を整理して、相応の文体に乗せて書けばよかったから。しかし、薄々感づいてもいる。苦痛を避けたのだと。出し切ったと言いながら、なお根深く言語化されていないものがどうやらある。そこに取り掛かるのを早々に諦めた自分がいたのは、今や認める他ない。

少なくともこの1年程の間、僕は過去のストックを消費するようにしか仕事をしていなかったということになる。もちろん、断片的にまとめてきたアイデアは幾つかあったし、わざわざ東京や京都に出かけて学びに行くこともあった。しかし、それらはその都度活用する分にはよかったが、まだ僕自身のコンテンツになりきっていなかった。身に余るような機会に預かり、自ら企画を持っていこうと勇んだ矢先、いまいち進歩していない自分と対峙する羽目になったのだった。

とにかく、腰をすえて、自分の中から何かを生み出すしかない、のだと思う。自分自身の言葉で、ぼんやりとしたアイデアを、誰かと共有できるところまで、形づくる。借りてきた言葉、どこかで見た表現でなく、拙くとも自分の言語で。

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