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ファシリテーションとコミュニケーション-「対話する力」

カテゴリ:読書の記録


ファシリテーターとしてはご高名(らしい)のお二人の対談をベースにした本書。
「ファシリテーション」というものの位置づけ、ファシリテーターの役割を把握していない状態で読み始めましたが、おぼろげながらその輪郭、基礎となる価値観、概念のようなものに触れたことができたように思います。

読みながらとったメモを振り返りながら、ずらずらと書き連ねておきます。

個人的なポイント

・ファシリテーションはコミュニケーション
・紹介されているノウハウや事例を通じて、一貫したメッセージを自分なりに読み取ってみる
・普段の自分のコミュニケーションに置き換えて考えてみる
・自分なりのかかわり方を言語化してみる

ファシリテーションの基本的な構造・順序

議論:方策を考える(アクション)
        ↑
対話:目的を共有する(ビジョン)
        ↑
会話:関係性を築く(コミュニティ)

いきなり議論に入らない。会話、対話、議論の順序を意識する。

ファシリテーターの役割

ファシリテーション
→人と人が関わる場を促進する
→ 「協働」と「学習」のサイクルを促進する(「学習する組織」)

ファシリテーターは問いに尽きる
ファシリテーションの本質はテーマ設定…適切なときに、適切な問いを立てる

ファシリテーターの立場は中立性よりも公平性が大事
中立な人は、当事者でない人。
中立であることより、場から信頼を得るこ

ファシリテーターは「ちょっと寂しい縁の下の力持ち」

ファシリテーションの上達
→×「ファシリテーション道のマスター」
→○自分流のファシリテーションを見つける

ファシリテーターは知識よりも地図を持て

「互いが安全に干渉できる関係性を、ある種強制的に作る」

×「時間内に結論がでない場合にどうするか?」
○「時間内に結論が出る会議となるようにあらかじめ設計する」
…ゴールの設定が大事-幅を持たせる、みんなで決める

「見守る」…ファシリテーターは「場をホールドする」ことに責任を持つ

開始時点でゴールのイメージをすり合わせる
「今日はどこまでやりたいですか」
「今日持って帰りたいものは何ですか」
「今日はどんな進め方が良いですか」

ワークショップを活かすためには、ワークショップを活かすためのプロセスのデザインが必要
「ワークショップが終わったときが、実は始まり」
※研修:事前の準備 4割、 研修そのもの 2割、事後のフォロー 4割

ファシリテーション型リーダーには「政治力」が必要

格言・メッセージ

「徹頭徹尾やる気のない人はいない。やる気のないときがあるだけだ。」

「起こっていることに意味がある」…場やプロセスに委ねる

×頑固な人を頑固じゃなくさせる
○頑固に固執したくなる状況を変える

意図どおりにならないときに、人はイライラする

教える→引き出す→あふれ出す

「人は誰だって誰かに認めてほしいし、人のこともきちんと認めたい。相互に承認し合うことが、いま求められていると思います。

プロセスの納得感が結論への納得感につながる
「よく話し合って決める、決めたら守る」

「その場に居合わせたメンバーが、明日から同じ思いで一歩踏み出し、少しでも組織や社会を理想の姿に近づけるものであれば、それで十分だと考えています。」

人間関係は、役割が一度決まるとそれが強化される傾向にある

「誤解」が対立を生む

雑感

ファシリテーションは、詰まるところコミュニケーションなんだと気付きました。
当たり前じゃないか、と思われるかもしれませんが、個人的にこれは重要な気付きでした。

ファシリテーションとはスキルである前に、姿勢(メタ・スキル)を問うものです。 
他人とどう関わっているか、会話の中で、コミュニティの中で、どのようなあり方でいるのか。
姿勢を養い、矯正していく場はどこか。僕はそれこそが日常なのだと思います。
ファシリテーションを行う場、例えばワークショップが、基本的に作為のある、非日常の場であったとしても。

ファシリテーションの上達とは、自分流のファシリテーションを見つけること、とあります。
実践の場でアウトプットし、それを振り返ることで自分自身のファシリテーションを問い直すことはできるかもしれませんが、インプットがなければ本質的にアウトプットされるものに変化はありません。
そのインプットの場は、日常に散りばめられているのです。
そうして、ファシリテーターというシゴトが属人的なものになる、ということが徐々に腑に落ちてきました。

僕は、特にビジネスにおいて、コミュニケーションを「相手のポジションを変えること」と定義しています。
反対派を賛成派に誘導したり、やる気のない人をその気にさせてプロジェクトに巻き込んだり、商品を知りもしないお客さんに商品を買ってもらったり。

ファシリテーターは、「促進する」という意味において、関わる人のポジションを変更します。
もう少し正確に捉えるなら、「場」そのものに関わり、場のエネルギーを変動させることが、ファシリテーションと言えるでしょう。

コミュニケーションはより恣意的に、自分自身のシナリオどおりの進行という大きな目的の中で行われます。
ファシリテーションはもう少し「場に任せる」というニュアンスが強いですが、ワークショップの前後を含めたトータルのプロセスをデザインすることの重要性についても本書で指摘されており、「促進する」ための一定のシナリオ(意図)がなければ成り立たないものであることは間違いありません。

いずれにしても、問われるのは自分自身のスタンスやかかわり方ではないでしょうか。
ノウハウを集め、スキルを鍛えることがファシリテーションやコミュニケーションを極める上で最重要になるとは思えません。
それを理解できただけでも、「対話する力―ファシリテーター23の問い」を手に取ったかいがあったと感じています。


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